出店エリアは自然と決まるもの
初めて美容室の開業、新規出店をされる方にありがちなのが、出店エリアありきで物件を探し始めてしまうことです。人通りの多さ、街の雰囲気、美容室激戦エリア、郊外、住宅街、駅前、などなど、確かに出店エリアを決めるにあたり大切なことは非常に多くあります。
しかし、先入観やあこがれなどだけで出店エリア、物件を決めてしまうと、いざ開業した後に、入念にたてた事業計画通りに進まなかったり、思い描いていたサービス提供ができなかったり、はたまた毎月の家賃が払えなかったり、といった様々な事態に陥ってしまうことがあります。
では、出店エリアの選定基準は、いったい何におくべきでしょうか。
一言で言うと、「お客様を主体として出店場所を決める」ということに尽きます。つまりお店に来ていただきたいターゲット、理想とするお客様は、一体どんな方なのか、それをはっきりさせることで、出店エリアは自然と決まってきます。自分のお店に来てもらいたいお客様、来てもらいたくないお客様を決めるのです。その上で、理想のお客様がいるエリアを探し出します。
ここで1つ事例をご紹介します。
ターゲットと立地が一致していなかった美容室
美容室の激戦地区にある1階路面店舗でした。
その激戦地区は、10代から20代の女性が多い街であり、若者に非常に人気のある街です。その場所に、あるお店が新規開業で出店をしました。
その美容室内は、清潔感と高級感が溢れる白を基調とした内装、スワロフスキーのシャンデリア、デンマークのハンス・ウェグナーの椅子が、整然と並べられていました。受付では受付専用の、カットブースではカットブース専用の、シャンプーブースではシャンプーブース専用の、それぞれの場所に合った音楽が流れています。その音は、音響デザイナーがそのお店専用にアレンジした音源です。もちろんこのような高級指向店舗だったため、客単価の設定も高額なものでした。
徹底的にこだわった、「心地よい時間を過ごせる空間」というコンセプトの演出。
しかし一年足らずで撤退する事になってしまいました。
物件をお探しになる前に、自分のお店のターゲットは誰なのか、その方々はどこにいるのかを、もう一度だけよくお考えいただき、物件をご検討されることをお勧めします。